炭酸飲料で本当に骨は溶けるのか?
皆さんは小さい頃,「炭酸飲料を飲むと骨が溶ける」って言われませんでしたか? 管理人は小さい頃,それが理由で炭酸飲料飲ませてもらえませんでした.いろいろ聞いたところ,他の人も炭酸飲料を飲むと骨が溶けるって言われてきたようで,あながち管理人の母の一人妄想というわけではなさそうです.確かに「炭酸」ってことは酸の一種でしょうし,カルシウムが溶けても何の不思議も無い気もします.
ならば実際にやって確かめるしかありませんね.
骨およびカルシウム含有量が多いと考えれるものを用意し,それを炭酸飲料に浸けておくことによって,その変化を観察してみましょう.
さて,材料は何がいいかな?
とりあえずは骨を用意したいところです.骨?骨といえばフライドチキン.骨はフライドチキンのを使うことにします.でもケンタッキーまで遠いから近くのスーパーで購入.
後はカルシウムが多そうなものを.やっぱり卵の殻でしょうかね.なんとなくカルシウム含有率高そうですし.それとカルシウムの錠剤.これならまんまカルシウムでしょう.
炭酸飲料は,キングオブ炭酸水?のコカコーラにしておきましょう.
今回の材料.結構いい値段になっちゃいました・・・
実験の前に材料の準備を.とりあえずフライドチキンを丸裸に(管理人の昼飯1).そのあと余計な部分を丁寧に取り除いて,洗剤で洗って乾燥させておきます.
昼食の残骸
次に卵の殻.半分に割って中身を丸飲み(管理人の昼飯2).殻は例によって洗剤でよく洗って使用します.
昼食の残骸2
錠剤はそのまま.とりあえず昼飯として数錠食っときました(管理人の昼飯?3)
実にカルシウムっぽい
コーラは出来るだけ炭酸が抜け難いようにと,蓋付きのペットボトルにしました.これもぐびっと一口飲んで(管理人の昼飯4).
以上管理人の昼飯でした.
これら材料をシャーレに入れて,そこにコーラを注いで放置するだけ.錠剤および卵の殻はバラけたりする危険があるので,お茶パックにいれて実験を行いました.ちなみにコーラはシャーレすりきりまで入れて約100cc.すこしでも炭酸が抜けないようにアルミの蓋をかぶせておきます(あんまし意味無さげだけど).
炭酸を抜け難くするには温度が低い状態のほうがいいのですが,人間の体に入ることを想定してあえて室温で行いました.
時間が経つと炭酸が徐々に抜けてくるので,20分ごとにコーラを交換.
計一時間浸した後,30分乾燥.その上で各材料の質量を測定します.以上を3サイクル繰り返しました.
最初の測定タイム! 骨の変色具合がすごいです.炭酸よりむしろコーラの着色料の方が体に悪いのでは? 卵の殻も変色.あと心なしか脆くなっている気がします.錠剤はと・・・ん??? 粉になってました.これでは炭酸によってカルシウムが溶けたのか,単に細かくなった錠剤が流れ出しただけなのか判別できません.早くも錠剤さんにはご退場願いました.折角30錠も使用したというのに,なんて勿体無い!
2時間後・・・ 特に目立った変化はありません.骨,卵ともに着色具合は進んでいます.
以下に結果を・・・
経過時間 | 骨(g) | 卵の殻(g) | カルシウム錠(g) |
実験前 | 7.93 | 7.33 | 6.87 |
1時間 | 7.44 | 7.32 | ― |
2時間 | 7.50 | 7.26 | ― |
3時間 | 7.48 | 7.21 | ― |
さらにグラフ化すると以上のような感じになりました.骨・卵の殻とも多少の質量の減少は見られますが,正直外環境や作業ミス,予期せぬイレギュラー等々による誤差の範囲内ともいえます.でもとりあえず何かが溶けていっているのは間違いなさそうですけど,それほど劇的なものでもなさそうです.
結論としましては,普通に飲んでる限り炭酸水で骨が溶ける心配をする必要は無し.おそらく骨に到達するまでに酸性は十分に弱くなっていると思いますし,骨自体も心配するほど炭酸に弱い訳ではなさそうです.が,炭酸でカルシウム?が溶けることは確認できましたので,強い炭酸を飲みつづけたりすると,直接炭酸にさらされる歯が弱くなったりする可能性は無いとは言い切れません.あと炭酸飲料は糖分が多いので,炭酸よりもそっちの方が身体に悪そうな気がします.
というか,骨がバシバシ溶けて「炭酸飲むと骨溶けちまうぞ〜」って最後に書きたかったんですけど,残念ながら叶いませんでしたね・・・